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ウェビナー記事 2021.11.30

プロフェッショナル人材のノウハウ伝授 第11話:現役PMMが語る、ビジネス×システム両軸で成功させる新規事業開発

新型コロナウイルスやデジタル技術の発展など、社会環境が急速に変化する今、ビジネスモデルの変革や事業転換を図る企業が増えている。そのような中、昨今注目を浴びている職種がある。「PMM(プロダクトマーケティングマネージャー)」だ。企画~開発~マーケティングまで、事業の全体像を把握しつつ、「PM(エンジニア等の開発側の責任者)」と連携しながら事業開発を推進する、ビジネス側の責任者のことである。

今回は、現役の「PMM」にご登壇いただき、事業開発を成功に導くコツについてお話しいただいた。

 

 

 

 

■登壇者 溝口 健治(みぞぐち けんじ)

ベルフェイス株式会社の現役プロダクトディビジョン GM 兼 プロダクトマーケティングマネジメントチーム MGR。

SIerにて受託システムの開発・運用のプロダクトマネージャー(PM)や、 コンサルティング会社での業務改善コンサルティングに従事。その後、楽天株式会社でプロデューサーおよびシンガポール赴任下での開発組織体制作りを行う。株式会社鎌倉新書でのプロダクト開発部部長および執行役員を経て、2021年3月からベルフェイス株式会社に入社。同年6月より、プロダクトディビジョンのGMに就任し、 プロダクトチームの組織マネジメント及び、PMMチームの新規立ち上げを担当している。

 

 

 

 

 

 

1.新規事業が直面する障壁、それを乗り越える3つの方法

今、新規事業に注力する企業が増えている。

しかし事業立ち上げ時や展開のタイミングで失敗・撤退するケースも、多く見られるという。

 

新規事業の立ち上げを多く経験する溝口氏はこう語る。「成功は決して簡単ではない。発案してから黒字化に至るまでの割合は、全体数から見て限りなく小さい。特に、何を作るのかという点に注力してしまい失敗するケースが多く見られる。誰の課題を解決するか、その課題を持っている顧客がどの程度いるのか、そしてそこにマーケット的なポテンシャルがどの程度あるのか、これらをどれだけ見つけられるか。これらが新規事業において重要になる。」

 

では、いかにして成功確度を高めるべきか。溝口氏によると、「これさえやれば成功する」という魔法は無く、「出来るだけ失敗する可能性を減らす」ことが大切で、以下3点を意識することが大事だという。

 

①事業仮説の設計 ~誰のどのような課題を解決するのか~

②事業仮説の検証 ~立てた仮説が正しいと思わず検証する~

③MVP(Minimum Viable Product) ~ソリューションを小さく早く作る~

 

 

 

 

1-1. 事業仮説の設計~誰のどんな課題を解決するのか~

まず始めに、「事業仮説の設計」について溝口氏に聞くと、例えばよくある失敗例として、このようなケースがあるという。

事業オーナーの体験や思い込みが強過ぎてしまい、システムやサービス仕様を検討する際に顧客についての話題が全く出ないケースだ。オーナーの仮説が合えば奇跡的に成功する可能性はあるが、大体は市場に顧客無し・ニーズ無しで、想定した結果が得られず失敗してしまう。そのため、新規事業をより成功に近付けるためには、まずは対象顧客の声がとても大切だ、と溝口氏は言う。

 

①誰の ~どの市場の、どの顧客を狙うのか~

②どのような課題を ~彼らが持つ課題は何か~

③どう解決するのか ~課題に対して、どのような解決策を提供すれば良いか~

 

このような考え方のポイントが、新規事業を成功させるためのコツになるようだ。

例えば営業活動ソリューションを提供している企業であれば、業界によって営業フローが変わる。そのため各業界にインタビューを実施し、営業フローを書き起こす。そしてそこにどのような課題があるのかを見つけ、自社のどのようなソリューションであれば顧客の課題を解決出来るのか、といったやり方だ。

思いがあることは大事だが、事業仮説が曖昧であると本質的ではないジャストアイデアで止まってしまう。思いにも疑いを持つと良い。」と溝口氏は語る。

 

また溝口氏は、ターゲットとする課題に対する見極めも大切だと言う。

「あると便利」程度なのか、「お金を払ってでも何とかしたい」と思われる課題なのか。例えば自分がターゲット顧客であるならば、自分がお金を払って解決したい課題でなければ当然他の人も使わない。最近はテクノロジーの進化が早く、モノやサービスを作り上げる難易度は下がっている。その分課題をしっかり見極める事が重要だ、と溝口氏は強調する。そして、だからこそPMMというポジションが注目されているのでは、とも語る。

 

 

 

 

1-2. 事業仮説の検証~立てた仮説が正しいと思わず検証する~

仮説設計の次は仮説検証だ。しかしここでも以下のような失敗ケースがあるという。

全員がモノを作り上げることに意識を傾けてしまい、立てた仮説が果たして正しいのか疑うことを、全く誰も考えていない状態に陥ってしまうケースだ。

溝口氏は以下のように警鐘を鳴らす。「事業オーナーは過去の経験や強い思いを持っているが故に、それが正しいと思い込みがちである。思い込みに対して投資を行っても、期待された回収を得ることは難しい。だからこそ検証する、ということを徹底的に意識することが重要だ。気付けば大規模システム投資の話になってしまい、もう後戻りが出来ない、といった状況はよくあるパターンで注意しなければならない。」

 

①誰の ~事業仮説で立てたターゲット顧客は本当に存在するのか~

②どのような課題を ~顧客は自分達のこのソリューションを本当に使ってくれるのか~

③どう解決するのか ~ソリューションに対しお金を払いたいと思ってくれるのか~

 

上記のように、必ず冷静に一歩振り返って検証するステップを入れる。これが大切なようだ

 

 

1-3. MVPMinimum Viable Product) ~ソリューションを小さく早く作る~

最後に重要となるキーワードはMVPである。

これは顧客が求める必要最低限の機能を実装させ、世に出していく開発手法だ。本当に今やるべきことを事業オーナーが見極める。そしてサイクルは小さくかつ早く回し、最短距離で検証を行う。何故これが大切かと言うと、意思決定者がジャストアイデアで現場に指示をすると、やるべきことが増えてしまうからだ。こうなると仮説検証をする上で、本当に必要なマスト要件がどれか見極めが出来なくなってしまうようだ。

 

新規事業はスピードが大切。この機能もあった方がいい、という部分は次フェーズに回し、余計なものはそぎ落とす。出来るだけ筋肉質になったプロダクトに仕上げて世に出すことで、素早く検証を行う事が成功への近道だ。」と溝口氏は語る。新規事業の成功への近道はこれだけではないようだが、以上の3点を意識するだけでぐっと成功確度が上がるようだ。

 

 

 

 

 

 

2.新規事業を成功させる組織体制

一方で、新規事業を成功に導くための組織体制には、いかなるポイントがあるのだろうか。

溝口氏は、新規事業はそもそも、パッションのある少数精鋭でスピーディに動き、より多くのステイクホルダーを巻き込み、事業仮説を立て形にしていくものだ、と言う。そのため、①新規事業に対する熱意、②社内外のネットワーク構築力、③KSF(KeySuccessFactor。事業業を成功させるために必要な要因。)を実行するための能力と知識、この3つの要素を持つ人材が必要となるそうだ。しかし、これら全てを持ち合わせるスーパービジネスパーソンはなかなかいない。そのため、メンバーそれぞれの強みを寄せ集めて組織を作ることがポイントになるそうだ。

 

 

 

 

2-1. 組織の見極め

では、いかにして上記のような組織を作ればよいのか。

まずは、チームのケイパビリティを見極めることだ、と溝口氏は語る。ロジェクトオーナーは、やるべきことに対して現状の組織であれば現実的にどこまで可能なのか、一方で何が不足しているのか、これを正しく把握する必要があるという。

 

2-2. 人材の調達

そして新規事業は難易度が高いため、一定のスキルや経験を持った人材が必ず必要となる。

しかし、売り手市場な昨今は優秀な人材確保は厳しく、人事や採用担当に依頼しても思うような結果が出ないことの方が多いだろう。

 

そこで溝口氏は提案する。「現在は働き方も多様化しており、業務委託として副業人材などがプロジェクトに参画し、高いパフォーマンスを発揮しているケースも増えている。業務委託で外部人材を活用することは、リソースを補充する意味で大変重要な打ち手なのだ。」

また、外部人材の活用は収支上もメリットがあると溝口氏は語る。「社員採用は固定費を増やすためP/L悪化につながるが、外部人材は期間限定で必要な経験や知見を充てられるため、リスクを極小化した状態でリソースを強化できる。」

ただし外部人材の活用時には、セキュリティや規約の面をクリアにすることや、外部人材も社員と変わらないパフォーマンスが発揮できる環境を用意することも忘れてはならない、と溝口氏は付け加える。

 

とは言えども、外部人材の活用について社内で否定的な意見が出る企業もあるだろう。

実は溝口氏は、顧問として弊社に登録する以前は、新規事業を作る企業側として、弊社の顧問ネットワークサービスを活用していた側でもある。

当時の溝口氏は、どのように外部人材の活用において社内コンセンサスを得たのだろうか。

「私が社内で外部人材の活用について稟議を出した際、強調したメリットは2点ある。1点目はプロジェクトの成功確度が高まる、という点。次に、一緒にプロジェクトとして動く社員の育成にも繫がるという点だ。当時は社員の成長が鈍化していた為、高いスペシャリティを持った人材とプロジェクトを進める事で、様々な知見をスピーディに吸収出来る機会を与えられる、という点はとても響いたようだ。人材育成面でも顧問など、外部のスペシャリスト活用は、とても良い影響を与える。」と溝口氏は語る。

 

ただし外部人材を活用する際の注意事項もあるようだ。溝口氏は言う。「必ずその外部人材への期待値をすり合わせることが重要だ。これが出来ていないと、ふわっとジョインして、何となくウィークリーミーティングをし、何となく活動も終わってしまう。外部人材活用の際には、彼らに対する期待値やゴール・役割を明確にすることが重要だ。」

 

 

 

 

2-3. KGIKPIの設定

新規事業はすぐに売上に直結することが少ないと言われている。では、売上目標以外でKGIやKPIはいかに設定すべきか。

 

「この新規事業はどの程度で黒字化させる予定だ。だからこのような売上計画を予定している。そしてこの売上達成のための先行指標とKPIを設定しチームで追う。ただし自社の事業に合った形で目標を設定することが大切で、設定した指標を全て追う必要は無い。どのKPIを上げればKGIが増えるのかという、キーになるKPIを探すことがポイントだ」と溝口氏は語る

 

 

3.新規事業オーナーに伝えたい「新規事業を成功させるポイント」

溝口氏が顧問として支援に入る場合、最初は新規事業をどう進めるべきかという、戦略面での壁打ちから入るケースが多いそうだ。そこである程度方針を固め、実際にモノを作るフェーズへのアドバイスへと移行する。

 

溝口氏は最後にこう語る。「新規事業のフェーズによって必要とされるものは変わる。新規事業オーナーにとって大切なことは、今は何が必要かを見極めること、そして適切なポイントで外部人材を活用するという選択肢を持つことだ。少人数で難易度の高いミッションに取り組むことが新規事業であり、成功は容易ではない。より成功に近づくためのチャレンジできる組織を整え、本当に必要な要素や人材を取り入れていくことが、新規事業を成功に導くポイントだと考える。」

 

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。 弊社で溝口氏を始めとする、事業開発のプロフェッショナルに多数ご登録いただいており、支援事例も多くございます。「新規事業におけるアドバイスが欲しい」「PMM人材を育成したい」「仮説設計や検証の方法がわからない」等のお悩みがございましたら、下記のご連絡先にお気軽にお問い合わせください。

 

 株式会社パソナJOB HUB

 電話番号:03-6832-2901

 

 

 

 

 

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