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ウェビナー記事 2021.09.14

プロフェッショナル人材のノウハウ伝授 第8話:予測できないVUCAの時代に企業価値の向上につながるブランド戦略の考え方「事業に追い風を吹かす広報の位置づけとは」

激しい時代変化の中で生き残るため、企業価値を向上させる広報・ブランド戦略に注目が集まっている。企業価値向上のために、消費者の認知拡大をどのように行えば良いのか、施策を重ねている企業も多い。

 

創業60年を超える一部上場企業であり、美容室向けヘア化粧品の製造販売を行う株式会社ミルボンもその一社だ。創業以来50年、広報室も広報専任者も不在の状態からスタートした同社が、今ではメディアへの露出が増え、更にメディア側から声をかけられる状態にまでなったという。

 

今回のウェビナーでは、アマゾンジャパン元広報本部長でAStory合同会社代表を務める小西氏と、同氏を顧問として迎え入れた株式会社ミルボンで広報室マネージャーを務める木村氏にご登壇いただき、企業価値向上につながるブランド戦略の考え方についてトークセッションを行った。

 

 

広報 ウェビナー

 

 

■登壇者:小西 みさを(こにし みさを)氏:

 AStory合同会社 代表、aLLHANz合同会社代表

 ∟ソフトバンク株式会社や株式会社セガなど複数の東証一部上場企業で10年以上の企業広報および海外広報の経験を積む。2003年にアマゾンジャパン合同会社に入社。広報本部長として同社が日本でトップブランドになるまでのコミュニケーションプロセスを牽引しブランド価値向上に貢献。約30年の企業PR、ブランディング強化活動の実績を持ち、現在、大手企業からスタートアップ企業まで様々な目的に沿う広報戦略づくりに携わり、パーパス・ブランディングの活動を広げている。(著書:『アマゾンで学んだ! 伝え方はストーリーが9割』『amazonのすごいマネジメント』)

 

■登壇者:木村 義則(きむら よしのり)氏:

 株式会社ミルボン 管理部コーポレートコミュニケーショングループ 広報室マネージャー

 ∟2003年に新卒にて株式会社ミルボンに入社。美容院向けの営業に3年間従事したのち、管理部門へ異動し、人事労務・採用・IRを担当。2016年より、同社がコーポレートブランディングに舵を切ったことを契機に企業価値を伝える広報機能の確立に着手、2019年に広報室マネージャーとなる。

 

 

 

 

消費者行動 広報

 

 

■1.予測不可能なVUCA時代の消費者動向

変動制・不確実性・複雑性・曖昧性といった予測不可能な昨今は、 いわゆるVUCA の時代と言われている。小西氏によるとこのような変化の絶えない時代だからこそブランド戦略を立て長期的視点で消費者の共感を得ることが重要だという。

まずは、今の消費者がどのような購買動向や購買意思を持っているのかを紐解いていく。

 

 

ブランド戦略の重要性 広報

 

 

資料によると、消費者の6割が企業に自分と同じ価値観を求めており、7割が商品やサービスを作る過程に透明性を求めているという。

特筆すべきは、消費者の3割は、社会問題に対する企業の言動に対して共感できない場合、 物やサービスを使うことをやめ、そして消費者の6 割は、利用をやめる事で、企業の行動を改めさせる事が出来ると考えていることである、と小西氏は分析する

 

 

■2.企業の在り方にも意見する「モノ言う消費者」

従来は、企業同士が競い合いを通して良いものをつくり、企業から発信される情報をそのまま消費者が受け入れてきたが、現在は様相が異なる。小西氏によると、商品やサービスだけでなく、企業そのものも消費者や社会と連携しながら共に作りあげる「共創の時代」に変化したのだという。SNSなどの普及により消費者が感想や価値観を発信しやすい世の中になってきたことが、一因として挙げられるようだ。

 

以下の図はブランドマネジメントの提唱者、ケビン・レーン・ケラー氏が作ったフレームワークだ。「この図の通り共創の時代のブランド戦略は、下から上に上がるプロセスを辿る。中でも根底にある『ブランドの認知』が最も大事だ」と小西氏は語る。

 

 

ブランド戦略の重要性 広報

 

 

以前は「ブランドの認知」が弱くても、まずは顧客に商品やサービスを使ってもらい「印象・性能・特長」を認知させる手法もあった。しかし現在は、消費者から「あなたの会社の存在意義は何で、そのブランドはどんな課題解決をしてくれるのか」という「ブランドの認知」がされないと、商品サービスを使ってもらうという次のプロセスに移行することが難しいようだ。

VUCAの時代ではパーパス・ブランディング(企業の存在意義の明確化)が求められているということだ。

 

 

 

 

■3.日本トップブランドに押し上げたパーパス・ブランディングの発信方法

パーパス・ブランディングを通して顧客からの共感を得るためにはどのようなアクションが必要なのか。小西氏はパーパスから逆算した継続的なコミュニケーションを実行することが重要だという。

かつて小西氏が在籍していたアマゾン社では、消費者に最高のショッピング体験を提供する、そのために「地球上で最もお客様を大切にする企業である」ことがパーパスであったという。

買い物が困難な状況にある人達にも、より便利で豊富な品揃えへ、そしてより最適な価格へと改善し続ける事で、最善のサービスを提供する。これこそが自社の存在意義であり、その為の継続的な企業努力や課題解決法を、消費者に広く伝わるようなコミュニケーションをとることを心がけていたそうだ。

すると徐々に消費者の共鳴を得ることができ、結果として、同社が日本でトップブランドと位置づけられるまでになったのだという。

 

では、上記で言う広く伝わるようなコミュニケーションとは何か。消費者はどのようなコミュニケーションを評価するのだろうか。

 

小西氏によると、消費者は「本当に企業努力を続けているか」「本当に革新を起こしながらソリューションを提供しているのか」「サービスや商品の利用者は本当に満足しているか」という視点で、企業価値向上の可能性を判断・判定をしているという。 そのため広報としては、最高のサービスを提供し顧客に満足してもらいながら自社も成長し続けている、という経過や結果を消費者に伝わるように継続的に発信していく。そして事業ゴールの追い風となるコミュニケーションゴールを毎年設定して展開していく。そうすることで、長期的な視点で評価され、ブランド価値が向上していく

 

 

■4.PESOモデルの最適化

また、ブランド認知を進めるにあたり、メディアを活用する事例も増えてきている。 PR・広報において利用されるメディアのことを「PESOモデル」と呼び、それぞれのメディアに合わせたアプローチが必要だという。

 

 

PESOモデル 広報

 

 

メディアごとに違う印象を与えてしまうと法人の「人格」が統一されず同じブランドとして認識されづらくなるため、メディアで発信する情報に一貫性を持たせ最適化し、企業が同一人物に見えることがブランド価値向上のために大切だという。

 

冒頭に取り上げたアンケート結果でも示された通り、消費者の6割が「企業の行動を改めさせるような行動も自分たちのソーシャルメディアで起こせる」と回答している。そのため、SNSなどの「Shared Media」を意識しながら、消費者が発信している内容をしっかり抑え、消費者にどうブランドが認知されているかを都度確認していく必要があるそうだ。

 

 

 

 

■5.株式会社ミルボンの事例

・5-1.広報専任者不在の時代

株式会社ミルボンは美容室向けシャンプーやスタイリング剤等の製造開発を事業としている。創業60年を超える一部上場企業であるが、創業以来50年間広報室はなかったという。しかし、顧客である美容室が減少傾向となり、BtoBからBtoBtoCへの業態転換を始めたことが契機となり広報部門の強化を図り始めたそうだ。

 

当時、木村氏はIR担当として投資家とのコミュニケーションを担当していた。その活動の中で、消費者や世の中に対してどのように企業をブランディングするか試行錯誤していた。しかし様々な施策に取り組んだもののコストや手間がかかり、どれも継続ができなかったそうだ。その後、専任の広報担当として就任するタイミングで顧問ネットワークサービスと出会った。

 

 

・5-2.半年がかりの広報戦略策定

広報担当を立てるにあたり、小西氏はまず「広報戦略を策定していくためにも、まずは企業情報を整理してストーリーで語れるように」と木村氏に提案した。 ストーリーで語ることにより、自社がどのような想いを抱いて事業を展開しているのかという理解がまず深まった。そうすることで、ステークホルダーに伝えるために不足している情報が見え、会社として発信していくべきメッセージの戦略が出来上がったという。

「会社全体のストーリーは、経営陣や会社そのものが納得したうえで作る必要があるため半年ほどかけてやっと完成した、大変な作業だった」と木村氏は振り返る。

 

 

・5-3.広報戦略の成果

小西顧問が支援に入ってから1年半経った今、どのような変化が見られているのか。 木村氏は「会社として一番伝えたい、コーポレートメッセージが明確になった」と語る。このメッセージに基づいて、どのタイミングでどんなメッセージを伝えるべきか、というアウトプットの戦略が自社で立案できるようになったという。これによりミルボン社の思いや、取り組みのポイントが理解されやすくなり、メディアからも声をかけられるようになったそうだ

 

また、木村氏は会社全体のストーリーを作る中で経営陣、特に社長とのコミュニケーションが密になり、会社が目指す方向性が明確になった点が最も大きかったと語った。 小西氏が顧問として参加するまでは「広報とは何か」があいまいな状態であり、どこから着手するべきか分からなかったが、小西氏に考え方のフレームワークを提示されたことで前進することができたという。 

 

従来は、他社との差別ポイントを洗い出す際に、伝えたいポイントを多出しがちであった。しかし第三者の立場であり、世の中の情勢をとらえている小西氏から、ミルボン社への率直な意見をもらうことで、自社を客観視して整理することができたと感じているという。

 

 

広報 イラスト

 

 

■6.B to Bにおけるブランド戦略の重要性

小西氏によると、VUCAの時代では「クライアントとの長期的な取引関係の構築」という視点からBtoBにおいてもブランド戦略は必要だという。クライアントと良好な関係を築いていたとしても、自社やクライアントに何が起こるかわからない。何か起きた時に「この企業とは取引を続けていきたい」と思ってくれるクライアントを生み出すことが継続的な関係構築に必要だという。

 

そのためミルボン社では、どのような想いを抱いて事業を展開している会社なのかというクライアントの理解を深めることを大切にし、自社のストーリーを共有することから顧客企業との取引・コミュニケーションを開始しているという。

 

小西氏がブランド戦略構築に携わったA社でも、これらを意識した結果、サービスや商品だけでなく、A社の思いや理念まで深掘りする報道系メディアが増えた。さらに一度取材したきりではなく、その後の会社状況や変革に興味を持ち再度取り上げてくれるようなメディアも出てきたそうだ。また、会社の強い思いをしっかり発信したからこそ、協賛をしてくれる大手企業のパートナーも増えたという。さらに、大手企業とのコラボレーションを通して様々なイノベーションも生まれているようだ。地道に発信し続けたメッセージが、個人・社会・他の企業に認知されてブランド力を成長させたのだ

 

 

■7.広報に求められる素質

最後に、広報に携わる方々が備えておきたい素質についてお二方に意見を伺った。 木村氏は、「広報の役割を人で例えると「口」であり「態度」でもある」と語った。意思が無い言葉を発しても、全く届かないため、経営者の意思を確認し、その意思を乗せた言葉を社内外に届ける姿勢を持つことが広報において重要な素質だという。

 

対して小西氏は「経営層や他部門と連携する際に求められる”協調性”と経営層との“コミュニケーション力”は必須。広報は社長が世の中に発信したいことを追い風となって発信する部門であるため、社長との連携がなければ非常に困難でありゴールが曖昧になってしまう。 また、社会のニーズやときには先を見越した知恵を絞りアンテナをはってストーリーを作っていく際に必要な”想像力”、そして社会と協調していく姿勢、さらに、不規則なことが起こっても切り替え、都度ベストなソリューションを出していくための”柔軟性”も非常に重要だ」と締めくくった。

 

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。 弊社で小西氏を始めとする、広報のプロフェッショナルに多数ご登録いただいており、支援事例も多くございます。「自社の広報戦略を見直したい」「広報人材を育成したい」「自社の現状が把握できていない」等のお悩みがございましたら、下記のご連絡先にお気軽にお問い合わせください。

 

 株式会社パソナJOB HUB

 電話番号:03-6832-2901

 

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