ウェビナー記事 2021.05.24
プロフェッショナル人材のノウハウ伝授 第3話:動画マーケティングの始め方
昨今、企業のマーケティング活動において、SNSが重要な役割を担うようになってきている。特に動画を活用したコンテンツは一度に大量の情報を伝達できる反面、ハードルが高いと感じられている企業も多いのではないか。そこで今回は、弊社ウェビナーにレシピ動画で有名なクラシルの仕掛け人である動画マーケティングのスペシャリストにご登壇頂き、「動画マーケティングの始め方」というテーマの元、「動画系SNSとは?」から「失敗談・成功談」などの運用のノウハウまでお話しいただいた。
■登壇者:奥野紘正(おくの・ひろまさ)
dely株式会社にて料理動画クラシルの立ち上げに携わる。動画制作フローの見直しを行い月20本平均だった動画作成を月1,200本体制まで増加させ、SNSのフォロワーを2万フォロワーから150万フォロワーまで増やした実績を持つ。C Channel株式会社では、ブランドマネージャーとして料理動画部門の強化とアプリのグロースをメインに携わる。月間再生数6億回を超えるチャンネルに成長させ、サービス内の再生シェア50%を超える人気ジャンルとして確立。現在はSNSマーケターとして様々な企業に対して支援を行う。
=====目次=====
■1:今、動画マーケティングに取り組むべき理由
∟消費行動の変化に伴うマーケティングの変化
∟動画マーケティングに相性が良いとされる商材
∟大手企業での動画マーケティング活用事例
∟BtoBでも活用できる動画マーケティング
∟英会話教室サービスの事例
∟バズらない、情報押しつけ型動画コンテンツ
∟バズる動画コンテンツ作りのポイント
∟動画マーケティングのよくある失敗・2つの原因
∟ユーザーの興味を惹くコンテンツ
∟動画マーケティングにおける鉄則
∟ターゲット分析・競合確認
∟これから動画マーケティングを始める方へ
1:今、動画マーケティングに取り組むべき理由
■消費行動の変化に伴うマーケティングの変化
数年前まで、消費行動に関しては商店街や百貨店・スーパーがメイン。しかし現在はAmazon・WEBサイト・アプリ等のスマホ完結型が多い為、消費行動がオンラインへスイッチしている。特にコロナ禍の現在は在宅が増えており、オンラインマーケティングへシフトする傾向が強くなっているようだ。消費行動の変化に伴いマーケティングも変化している。消費者との接点は雑誌や新聞・ラジオ・テレビ等のオフラインが主流だったが、現在はGoogleマップの口コミ・SNS・WEB広告・アプリ内でのリーチがメインで、特にInstagram・TikTok等の動画系SNSがオンラインマーケティングにおいて有効な情報発信として注目されていると言われている。
■オンラインマーケティングとオフラインマーケティングの違い■
▼オンラインマーケティング
∟SNS、WEB広告、Google口コミ、アプリ等
▼オフラインマーケティング
∟紙媒体と言われる雑誌や新聞、テレアポと言われる電話、ラジオ・テレビ・サンプリング等
※サイネージやエレベーター広告などは、今後ネットを介してリアルタイムで顧客やデータの送受信が可能になるため、現状は中間に位置づけられる。
■動画マーケティングに相性が良いとされる商材
認知度が高いSNSとして、Facebook・Twitter・YouTube・Instagram・TikTokなどが挙げられるが、奥野氏はそれぞれユーザー属性やコンテンツの方向性が違うため、自社に合うSNSを検討する必要がある、と語る。SNSを利用しにくいご年配向けの商材やニッチ性が高い商材は、動画マーケティングにおいて苦戦する事が多い。一方で、SNSと身近なデジタル世代向けの商材や単価がリーズナブル、もしくは高単価であっても美容・整形などのコンプレックス商材は動画マーケティングと相性が良い。特にSNSにおける動画コンテンツは、写真やテキストと比較し滞在時間が長い傾向があり、かつ最近の消費者の消費行動とも相性が良いようだ。
■大手企業での動画マーケティング活用事例
例えばある大手製薬会社では、若手社員がTikTokを用いた動画マーケティングを行っているそうだ。「あの大手企業が」という意外性が話題を呼び、SNSで拡散・認知度向上に繋がっていると言われている。企業の大小・業界といった固定概念に囚われず、いかに柔軟な考え方をもって取り組めるかが動画マーケティングを成功させる近道のようだ。
■BtoBでも活用できる動画マーケティング
動画マーケティングの活用はBtoCビジネスが注目されがちだが、BtoBビジネスにおいても活用できる。例えば、スーパーのデジタルサイネージなどコンテンツ配信のプラットフォームが増えている。あらゆる企業が何かしらのプラットフォームにフィットするという事だ。様々なプラットフォームを上手く活用出来れば、BtoBビジネスにおいても動画マーケティングは有効だと、奥野氏は語る。
2:動画マーケティングの成功事例・ポイント
■英会話教室サービスの事例
奥野氏が支援したマンツーマンの英会話教室を展開する企業では、 TikTokのフォロワーが 1 年弱で 0 人から 3 万人弱まで増加し、再生数においても150 万再生という驚異的な数字をたたき出したようだ。では、なぜ手法としてTikTokを選定したのか。奥野氏によると、FacebookやTwitterはユーザーへの認知の時間がかかり、今のアルゴリズムだとターゲットユーザーにリーチさせることが難しい。また、Youtubeの英会話領域はレッドオーシャンであり、競合アカウントが多く競合優位性が見出せない為、まずはTikTokとInstagramを始める事にしたようだ。動画マーケティングにあたり、コンテンツを載せるSNS選定においては、相性以外にも、競合の介入状況などの要因分析も必要なようだ。
次にコンテンツ作成における成功のポイントは一体どこにあったのか。今回の場合、コンテンツを視聴するユーザーは、①ただ見ているだけのユーザー②将来的に英会話力を磨きたいと思っているユーザー、に分けられる。後者に刺さるコンテンツをいかに出せるかが明暗を分けるポイントだったようだ。
■バズらない、情報押しつけ型動画コンテンツ
よく「こういったサービスを出しているので、是非使ってください」という動画コンテンツもあるが、これはユーザーに対して情報を押し付けている状態だと奥野氏は語る。自社が狙いたいユーザーが求める動画コンテンツは何か、競合はどのような動画コンテンツを出しているのかを分析・蓄積・配信・摺合せを繰り返す事が重要だと言う。この作業を繰り返せば、どのような企業でもある程度数字が見込めるようだ。
■バズる動画コンテンツ作りのポイント
一概に「動画コンテンツ」と言えども、事業や製品説明メインの堅い動画から、エンタメ要素を入れた動画など、動画コンテンツの方向性は多岐にわたる。では、どのような動画コンテンツが良いのか?これを導き出す為には、まず相対的に評価できるデータを社内に貯めることが必要だと奥野氏は語る。例えば、最初は競合企業の動画マーケティングを調査し真似をする。そこから得た数値を蓄積・分析し、数字が伸びた動画の共通項を集め続ける。これらの共通項を組み合わせて新しいコンテンツを作り続ければ、どの業界でも動画マーケティングの数字は延ばす事が出来るようだ。
■動画マーケティングのよくある失敗・2つの原因
InstagramやTikTokは、数字で跳ね返ってきやすい。つまり、再生回数・シェアや保存回数を見ればその動画コンテンツがユーザーに求められているか一目瞭然。奥野氏によると、数字が伸びない=ユーザーに求められていない=企業による情報の押し付け、となっている状態だという。何故このような状態に陥ってしまうのか。問題点は2つあるようだ。
①動画コンテンツが、狙ったユーザーと合致していない。
②狙ったユーザー向けではあるもが、ユーザーにうまく届いていない。
前半の問題点については、以下のような対策をとると良いとの事。
STEP1:自分たちが何をユーザーに伝えたいかを整理
STEP2:ターゲットとなるユーザーが何を求めているのかの仮設立て
STEP3:STEP1&2双方にタッチできるメッセージや動画の組み立て
後半の問題点については、SNSのハッシュタグやユーザー属性のチューニングを行い、微調整を行えば改善されるようだ。
■ユーザーの興味を惹くコンテンツ
奥野氏は、自分たちが伝えたい情報は必ずしもユーザーが求めているとは限らないため、どう表現を変えればユーザーの興味を惹くことができるのかという観点で、動画コンテンツを作成する事が重要だと語る。例えば、先ほどの英会話教室サービスの事例では、普段の生活で使える英会話のワンフレーズ等を投稿したが、「新規顧客を開拓したい」という目的に相反し新規ユーザーに中々リーチが出来なかったようだ。対策として、それまでの動画コンテンツの要素分解を進めた。結果わかった事は、「英語のネイティブスピーカーが、日本に来た時に驚いた事」など、比較的カジュアルコンテンツの方が、再生数が多かった。以降は、知識系といった堅い動画コンテンツでは無く、もっと気軽に英会話を知って貰う為の動画コンテンツを作ろう、と方向性が変わったそうだ。
■動画マーケティングにおける鉄則
過去に奥野氏によって再生回数を一気に150万回を突破させた動画コンテンツについては、登場人物を二人にしてエンタメ要素を含めたかけあいを発生させ、ユーザーがより動画へ没入させるようにした事が再生増加に影響したのではないか、と奥野氏は分析する。二人のファンが育成される事でフォロワーが増え、結果、「この二人に習いたい!」という問い合わせが増えたそうだ。動画マーケティングにおいて「良いコンテンツは良いコミュニケーションを作り、良いコミュニケーションは良いコミュニテイを作る」という鉄則があるが、まさに鉄則通り、同動画には1,000のコメントが付くほどに盛り上がったという。
3:今すぐ着手できる点
■ターゲット分析・競合確認
奥野氏によると、まずはターゲットユーザーがそもそもSNS上に存在するのかを確認する事、そして存在するならば、そのユーザーはどのようなコンテンツを好むのかを分析・理解することが、何より大切だと言う。次に競合他社の動画コンテンツを確認する。競合他社の動画コンテンツをチェックする事で、最適なSNS媒体の選定、最適な動画コンテンツの内容を分析することが出来るそうだ。また、失敗事例も踏まえてチューニングする事も大切だ。例えば奥野氏は過去に料理動画コンテンツとして新しく「魚介系」を制作した所、全く数字が伸びなかったと言う。「魚介系」はSNS上ではあまり好まれないという事がわかり、同じ失敗を繰り返さない為にも「魚介系」の動画コンテンツは中止した。
■これから動画マーケティングを始める方へ
奥野氏は最後にこう締めくくる。まずスタートする際には、SNSアカウントと動画コンテンツが必要となる。運用を自社で行うのか外注するか、また、どんな動画コンテンツに取り組むのか、コスト・目標数値・最終的なKPI等も全て考えた上で、運用する価値があると判断できれば、まずは試験的に挑戦してみてはいかがだろうか。もし的確な判断が難しい場合は、我々のような動画マーケティングの専門家にアドバイスを求めるのも一つの選択肢として考えてみてはいかがだろうか。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
弊社では奥野氏を始めとするマーケティングのプロフェッショナルに多数ご登録いただいております。また、支援事例も多くございます。「自社に最適なマーケティング施策を知りたい」「マーケティング人材を育成したい」「自社の現状が把握できていない」等のお悩みがございましたら、下記のご連絡先にお気軽にお問い合わせください。