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経営課題 2020.07.20

ベンチャー投資によって事業の拡大、加速化を目指せるアクセラレータプログラムとは?

新型コロナウイルスの感染拡大に伴う自粛要請・休業要請で、事業規模の縮小を余儀なくされてしまった企業は多いのではないでしょうか。今後、感染の第2波、第3波も予想されるなか、従業員の健康を維持しつつ、経営を安定させていくには既存事業の拡大、新規事業の創出が1つの鍵となるでしょう。しかし、自社のリソースだけで一から新規事業のノウハウを蓄えるには時間がかかるうえ、手間も要します。そこで、今回はベンチャー企業と協業することで既存事業の拡大、新規事業の創出を実現するための施策であるアクセラレータプログラムについて、その概要や問題点、解決方法をお伝えします。

既存事業の拡大、新規事業の創出の効果が期待できる「アクセラレータプログラム」

コロナ禍のなか、既存事業の拡大、新規事業の創出を行っていくには、迅速かつできる限りコストを抑えつつ、そのうえで成功率を高めなくてはなりません。そこでポイントとなるのが他社との協業です。

他社と協業する方法としては、M&A、CVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)などがありますが、それ以外にも昨今、大きな注目を集めているのがアクセラレータプログラムです。M&Aは相手企業と合併、もしくは買収する必要がありますが、CVCや今回紹介するアクセラレータプログラムは、主に大手企業が自社の事業とシナジーを生む可能性の高いベンチャー企業やスタートアップ企業に対し、協業を目的に投資を行うものです。

投資といえば、VC(ベンチャー・キャピタル)がありますが、その投資目的はキャピタルゲインを得ることであり、協業を目指すものではありません。そのため、自社事業の拡大を目指すのであれば、やはりアクセラレータプログラムが適しているといえるでしょう。

アクセラレータプログラム実施のメリット

既存事業の拡大や新規事業の創出においてアクセラレータプログラムの実施は、大手企業に以下のメリットが期待できます。

  • 大手企業のメリット1 迅速な事業の立ち上げ
    これから行おうとしている事業に関する高い技術や知見を持っている企業と組むことで、その事業の準備に取り組む時間を大幅に短縮できます。また、自社にはない技術、知見を既存の事業に生かしたり、取り込んだりといったことも可能になります。
  • 大手企業のメリット2 失敗コスト(リスク)の削減
    アクセラレータプログラムはM&Aと違い、あくまでも他社との協業のため、自社だけで新規事業に挑むわけではありません。そのため、万が一、失敗したとしても新規事業にかかったコストは限定的なものです。

 

ベンチャー企業、スタートアップ企業側から見ると、アクセラレータプログラムによって以下のメリットが得られます。

  • ベンチャー企業、スタートアップ企業のメリット1 信頼や実績の獲得
    大手企業と組むことで外部からの信頼度が上がるうえ、協業によってさまざまな実績、経験を積めるメリットがあります。
  • ベンチャー企業、スタートアップ企業のメリット2 大手企業のノウハウ
    創業間もない企業にとって、大手企業からの資金調達を実現できるうえ、ノウハウを直接学べて大きく成長するチャンスを得られます。

アクセラレータプログラムを実行していくうえでの問題点とは?

大手企業が迅速かつコストを抑えて事業拡大をしていくうえで、大きなメリットを持つアクセラレータプログラムですが、実際にそのプログラムを実行していく際には主に次のような問題点が考えられます。

  • 自社にあったベンチャー企業の選定、投資のノウハウがない

アクセラレータプログラムは基本的に投資会社を通さずに、自社のリソースでベンチャー企業への投資を行う場合がほとんどです。そのため、投資すべき企業の選択が簡単ではありません。また、当然、新しくアクセラレータプログラムを開始する場合には、投資に関するノウハウも少なく、最初の段階でつまずいてしまうリスクがあります。

  • 他部署との連携が取りにくい

注目を集めているとはいえ、日本においてアクセラレータプログラムはまだ一般的な認知を得ているわけではありません。そのため、社内でアクセラレータプログラムを担当する部署が孤立してしまい、他部署との連携がうまく取れないといった問題もあります。また、大手企業ゆえ、意思決定の過程が複雑で時間がかかる傾向があるのも、アクセラレータプログラムを迅速に進めていくうえでの大きな問題点の1つです。

  • アクセラレータプログラムに対する社内の理解がない

上述したように、アクセラレータプログラムの認知度はまだ高いわけではなく、社内、特に経営層の理解を得るのに時間を要してしまう場合があります。また、社内の理解がないため、担当者の評価基準も定まっておらず、モチベーションを高められないといった問題点も見受けられます。

アクセラレータプログラムを成功させるためのポイント

では、問題点を解消し、アクセラレータプログラムを成功させるにはどうするべきか、ここでは特に前項で触れた問題点の解消方法を紹介します。

  • アクセラレータプログラム支援会社への依頼

大手企業とはいえ、あまたあるベンチャー企業、スタートアップ企業と接点を持つのは簡単ではありません。一般的にアクセラレータプログラムは、ビジネスプランを公募し、そのなかから書類、面接を経てプログラム参加者を決定し、その後、出資を行っていくので、自ら接点をつくっていく必要はありません。そこで問題となるのは、これまでに投資の経験がないとその手順ややり方に手間取ってしまう点です。しかし、アクセラレータプログラムの円滑な実施に関してもそれを支援する会社へ依頼すれば、投資も含め、最初の段階でつまずくリスクは軽減します。

  • 部署を横断したプロジェクトチームの設置

1つの部署でアクセラレータプログラムを担当しようとするとどうしても他部署と足並みをそろえづらくなります。そこで、複数の部署から担当者を選択し、プロジェクトチームとしてアクセラレータプログラムを実行していきます。どの部署もアクセラレータプログラムを自分のこととして捉え、全社一丸となって成功を目指す気概を持てなければ、成功させるのは難しいでしょう。また、アクセラレータプログラムで参加企業が決まったら、その企業に社員を出向させるのも、社員にベンチャー企業と同じ目線を持ってもらえるという意味で効果が期待できます。

  • 外部の力が欠かせないことの説明

まずは社内の理解なくして、アクセラレータプログラムの成功はありません。そこで、事業拡大や新規事業の創出において、自社だけのリソースで行った場合と外部の力を使った場合に想定されるコストや得られる利益の予測についての比較を綿密に行い、その比較結果をもっていかに外部の力が重要であるかを特に経営層に対して説明します。

 

アクセラレータプログラム成功の鍵は社内の理解&ベンチャー企業と同じ目線で協業すること

新型コロナウイルス感染症、夏になれば台風、そしていつどこで起きてもおかしくない大地震など、企業経営においては常に突発的なリスクを想定しておく必要があります。万が一が起きてしまう前にそれを乗り越えるための備え、もしくは起きてしまった際にできるだけ早く立ち直るための準備として、アクセラレータプログラムを検討されてみてはいかがでしょう。

いかに大手企業といえども、市場の成熟化が進むなかでの事業拡大は簡単ではありません。また新規事業を創出するには、自社のリソースだけでは賄えないケースも少なくないでしょう。アクセラレータプログラムは自社にはないリソースや斬新なアイデアを外部から取り入れ、ともに事業の加速化を進めるうえで大きな役割を果たします。

しかし、日本ではまだまだ新しい取り組みであるため、まずは社内の理解を得ることから始めなければなりません。そして同時に他部署とコミュニケーションを取り、連携を図っていく必要もあります。

また、アクセラレータとして成功するもう1つの鍵となるのが、ベンチャー企業、スタートアップ企業との信頼関係構築です。出資する側と受ける側になるため、どうしても上下関係になりがちですが、実際にビジネスを進めていく際には、お互いにない部分を補完し合うという意味でも対等の立場で進めるべきです。

互いに影響し合い、事業の拡大、新規事業の創出を目指していこうという意識を持てなければ、アクセラレータプログラムの成功は難しいといえるでしょう。

 

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