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経営課題 2020.06.01

自然災害、感染症の流行などにスピーディーな対応を実現するBCP対策の策定方法

BCP(事業継続計画)というと、台風、地震、火災、サイバー攻撃などの被害に遭った際でも事業を継続していくための対策というイメージが強いかもしれません。しかし、それ以外にも新型インフルエンザや、現在、世界規模で猛威をふるっている新型コロナウイルスといった感染症の流行時においても、効果を発揮します。新型コロナウイルスは今後、第二波、第三波も予測されているため、まだまだ予断を許さない状況であり、企業にとっても次の危機に備えた準備が喫緊の課題となるでしょう。そこで、今回はBCPの概要、特に感染症対策の一環としてBCPを策定する際に必要な手順・ポイントをお伝えします。

万が一の際に事業継続を実現するBCPとは?

BCPとは、Business Continuity Planを略したもので日本語では事業継続計画と訳されます。自然災害、火災、サイバー攻撃、感染症などによって事業継続が困難になっても、廃業、倒産といった事態を防ぐため、事前に対策を立てておくものです。2006年2月には中小企業庁が中小企業の経営者に向けた指針として「中小企業BCP策定運用指針」を公表しています。BCPを策定するうえで重要なポイントは次の二点です。

  1. 基幹事業の継続、早期復旧

一つめのポイントは万が一の際にも基幹事業を継続できるようにする、もしくは、できるだけ早い段階で復旧させ、被害を最小限にとどめることです。そのためには、まず自社にとって基幹事業とは何であるのかを明確にし、その事業を継続していける体制づくりを行います。

具体的には、クラウドサービスを活用した資料のバックアップ、システムの増強、作業マニュアルの制作などが挙げられます。また、多くの事業は自社だけではなく、支社や取引先があって初めて継続が可能になるため、万が一に備え資材の仕入れ先を別に確保しておくことも重要です。

  1. 従業員の安全確保

万が一の際、事業を継続、もしくは早期の復旧を実現させるために欠かせないのが、従業員の安全確保です。事業継続に必要な書類のバックアップや取引先との連携を取っていたとしても、そこに従業員がいなければ意味がありません。

具体的には、自然災害の場合であれば、安否確認の発動基準、チームの編成、緊急連絡網の作成といった方法を決めます。感染症の場合であれば、自宅待機の基準、マスクや消毒液の管理、在宅勤務のルールなどを決め、従業員の安全確保を行います。

BCPの策定で求められる企業の姿勢

一般的にBCPは、どちらかといえば地震や台風など自然災害が起きた際の対策といったイメージが強いかもしれません。しかし、今回の新型コロナウイルスや発生が危惧されている新型インフルエンザなどの感染症が大流行した際にいかに従業員の安全を確保しながら事業を継続していくかも考えておく必要があります。そこで、ここでは主に感染症対策としてのBCPを策定する際、企業はどういった姿勢で望むべきかについて説明します。

自粛要請に対する自社の方針を明確にする

今回のように国や地方自治体からの自粛要請が出た際、自社としてどうしていくかの方針を明確にしておきます。

  • 要請にしたがい在宅勤務とする場合

自粛要請に従い、在宅勤務制度を導入する場合、在宅では難しい業務に関してはどうするかや、パソコンやネット環境がそろっていない従業員に対してはどうするかなどを予め決めておきます。また、在宅勤務用の就業規則も事前に策定しておかなければなりません。

  • 在宅と出社の両方を行う場合

業種や業務によってはどうしても在宅ではできないものもあります。その際、出社せざるをえない従業員の安全確保をどうするべきかを決めます。今回の新型コロナウイルスへの対策を例に出すと接触リスクを軽減するため、出社を交代制にして対人距離を保つ、出社する従業員に対して、マスクの支給、入出時の手洗いや消毒、検温の徹底を行う、電車通勤による接触を避けるため、時差出勤や自転車、車での出社を認めるといったルールを策定するといったことが考えられるでしょう。

自社で集団感染が発生した際の方針を明確にする

感染症は、自然災害とは異なり、建物や社内の設備、資料といったものは被害を受けません。その代わり、従業員が感染し発症してしまった場合には、出社はもちろん、在宅勤務もできなくなる可能性があります。つまり「人材の確保」がボトルネックとなるため、その対策も講じなければなりません。

特に集団感染が発生すると、状況によっては、会社が入居しているビル自体が出入り禁止になる場合もあるでしょう。そうした事態が起こった際、会社として従業員の休業補償はどうするか、運転資金はどうするかといった資金面の対策も明確にしておく必要があります。

また、感染症は国内だけではなく、全世界で流行するリスクもあるため、海外に工場がある、海外から資材を取り寄せているといった企業では、その対策も必要です。海外事業の継続、従業員の帰国、滞留などについての方針を事前に決めておきましょう。

BCPの策定手順と効率的に進めるためのポイント

では、実際にBCPを策定していく際の手順と効率的に進めていくためのポイントを説明します。

  • リスクの洗い出しを行う

自社にとってどういったリスクがあるのかを洗い出します。感染症、自然災害、火災、サイバー攻撃以外でも、法務リスク、不正・内部統制リスク、オペレーションリスク、人事・労務リスクなど。事業を行ううえで考えられるすべてのリスクを洗い出し、具体的にどういったリスクがあるかを特定します。

  • 優先して対策すべきリスクの順位を決める

リスクを洗い出したら、次は優先して対策すべきリスクの順位を決めます。「リスク」という以上、すべて重要であることは間違いないでしょう。しかし、限られたリソースのなかで被害を最小限に抑えるには、リスクの順位づけが欠かせません。それぞれのリスクの発生頻度や基幹事業への影響の大きさを鑑みたうえで、「何から手をつけるか、何を優先的に復旧させるべきか」について優先順位の高いリスクから重点的にBCPを策定していきます。ポイントは自社の基幹事業を明確にし、その基幹事業の継続を脅かすリスクが何かと考えることです。

  • 復旧までの道筋を立てる

事業継続を脅かす事象が起きた際、そこからどういった道筋で復旧までこぎつけるかを決めます。最初に行うのは現状の把握です。優先順位に沿って現状把握をスムーズに行える体制を整えておきます。次に行うのは、足りないものが生じた際の補充・代替についての手段の明確化です。足りないものが「人」であれば別の部署や支店から補充する、「モノ」であれば修理できるなら修理する、修理できないなら代替えをするなど、取るべき手段を決めておきます。最後にこれらを実行に移す際、災害等で失われにくい手段で確認できるようにすれば、スムーズな復旧が可能になります。

BCPを机上の空論で終わらせないためには専門人材を活用することがポイント

東日本大震災や熊本地震、そして毎年のように日本を襲う大型台風。また、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言など、どこにいたとしても、何かしらのトラブルに巻き込まれる可能性はゼロではありません。そして、その時がいつ訪れるかを予想はできないため、企業として少しでも早い対策を行うことが必須です。

しかし、事業の継続を妨げるようなトラブルは多岐にわたるため、迅速かつあらゆるトラブルに対応可能なBCPの策定は非常に困難です。そこで、重要となるのが、BCPに対し、専門的な知見を持った人材の登用です。ただし、BCP策定のためだけに人材を登用することは企業として効率的ではないため、策定や運用時に合わせてスポット的に外部人材を活用する方法がおすすめです。

 

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