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組織人事課題 2020.04.14

導入が困難な戦略人事を積極的に取り入れ継続的な成長を実現する方法

日本で人事というと新規や中途採用、社内異動などの管理が業務の中心である企業が多いのではないでしょうか。しかし、少子高齢化が進み、多くの職種で人手不足が深刻化しつつある今、限られた人材を活用し、継続的に成長を続けていくためには戦略的な人事が欠かせなくなっています。そこで、今回は新しい人事の在り方の1つである戦略人事について、その重要性と課題を見つつ、戦略人事を成功させるためのポイントについてお伝えします。

今、求められる戦略人事への対応

今、多くの企業で注目を集めている戦略人事とは、人材管理だけではなく、経営者のパートナーとして、経営戦略にも深く関わるものです。元々はアメリカの経済学者で大学教授でもあるデイビッド・ウルリッチ氏が提唱したもので、近年の企業を取り巻く環境の変化に対応し、今後も成長を続けていくために必要な企業経営の在り方の1つです。

戦略人事が注目を集める背景には、ITの進化、海外からの競合企業の参入、市場の成熟化などで業務スピードが上がったことが挙げられます。競合に少しでも先んじるためには、迅速な経営判断が必須となりますが、その判断を人事が理解していなければ適正な人材配置ができません。そうなればどんなに迅速に戦略を立てたとしても、現場での行動が遅れてしまい、結果として競争優位性を保てなくなります。もし、人事部が経営陣と綿密なコミュニケ-ションを取り、経営戦略を理解していれば、人材配置にもタイムラグが生じることはなく、常に迅速で的確な人材活用が可能になります。

また、人材の採用においても従来の終身雇用を前提とした人材採用では現在の流れについていくことはできません。常に最新の経営戦略を基に、それに適応した人材採用をしていかなければ、その後の的確な人材配置も不可能になってしまいます。戦略人事は、こうしたリスクを最小限に抑えることができ、企業の継続的な成長を支えるものとして、大きな注目を集めているのです。

戦略人事の導入が難しい理由

迅速な経営戦略を実現するうえでも欠かすことのできない要素の1つである戦略人事。しかし、多くの企業で実際にどの程度、戦略人事が導入されているかといえば、思ったほど進んでいないというのが現状ではないでしょうか。その理由としては次のようなことが考えられます。

  • 経営層が人事の重要性を理解していない
    戦略人事は、経営層が人事を経営のパートナーであることを認識することで初めて成立します。そのため、戦略人事の導入を検討したとしても、経営層が人事の重要性を理解せず、人事からの意見や提言を受け入れられないようでは、実際に導入するには至りません。
  • 経営戦略が明確でない
    経営層が人事の重要性を理解していないのと同様に根本的な問題ですが、企業としての戦略が明確でなければ、人材に関する戦略を立てることはできません。また、頻繁に戦略が変わってしまう企業も、人事として対応ができず、導入は困難になるでしょう。
  • 人事部が経営戦略を理解していない
    これまでとは逆に、経営層は戦略人事の重要性や、それを実現させるための人事の重要性も理解しているけれど、人事部が経営戦略を理解していないケースです。従来の人事部の役割を果たすことに意識が集中してしまい、経営層のパートナーになるという意識がないと、経営戦略は成立しません。

ここまで、3つの理由を見てきましたが、この3つに共通しているのは、これまでにない新しい戦略を導入するという変革をうまく受け入れられていない点です。そのため、仮に戦略人事を導入したとしても、意識が従来のままであるため、うまく機能しないのです。

戦略人事を受け入れにくい要因としては、場合によっては成果が出るまでに数年かかってしまう、人材戦略が数字として効果が出ているかどうかの検証が難しいといったことが挙げられます。例えば、マーケティングや営業は数字で成果を表すことができるうえ、短期間で成果を出すことも可能ですが、財務や総務といった部署では成果を数字で表すことが困難です。しかし、戦略人事では、そうした部署への人材配置も含まれるため、特に経営層は数字が出にくい施策に対する変革に対して二の足を踏んでしまうのではないかと推測されます。

戦略人事の運用を成功させるためのポイント

現在の多くの日本企業が抱える戦略人事の課題を廃し、導入、運用と進めていくにはどういった点に注意する必要があるのでしょう。ここでは3つのポイントを紹介します。

  • 経営層を始め、企業全体に人事の重要性を理解させる

経営層だけではなく、企業全体が人事の重要性を理解し、ひいては企業にとって人材は重要な資産であることを理解することが求められます。業務のために多額の資金を調達し、最新のシステムを導入したとしても、それを活用するのは「人」です。お金やシステムを企業にとって最大限に効果的に活用するには、明確な戦略のもとに、人材を適材適所に配置しなくてはなりません。そのため、まずは「人材」ありきで、その管理を行う人事が経営にとっても重要な位置を占めることを理解することが重要です。

  • 人事部が人材管理から経営戦略のための人材活用へと意識を変革させる

従来の人事といえば、人材採用、異動・配属・昇格などの管理、人事制度の企画、労務管理、能力開発が主な業務で、その全ては人材を管理するための業務でした。しかし、戦略人事では、単なる管理ではなく、経営戦略のための人材活用をすることが重要な業務となります。

これは従来の業務の重要性が失われるということではありません。むしろ、従来行ってきた業務においても常に経営戦略を意識する必要があります。例えば、新卒採用においても、現在、必要としている人材を採用するだけではなく、将来的に事業転換や新事業へ参入した際にも対応できることを見据えた採用も検討しなくてはなりません。また、そのためにも経営層と連携し、長期的な経営戦略を共有しておくことが求められます。

  • 人材の適正を把握するため各部署とのコミュニケーションを密にする

戦略人事を運用していくためには、人事が現在、どの部署にどういった人材がいて、それぞれがどういった適正を持っているのかを把握しておかなければなりません。そのためには、マネジメント側だけではなく、直接、個々の社員ともコミュニケーションを取る必要があります。業務に関する情報はもちろん、性格や人となりなど、対面で話さなければ分からないことまでも把握しておくことで、適正な人材活用が可能になります。

戦略人事成功のカギは人事自らが経営戦略に積極的に関わること

戦略人事を成功させるには、人事が経営陣のパートナーであることを意識し、経営戦略に積極的に関わっていくことが求められます。社内調整や管理だけを重視しているようでは運用を成功させることは難しいでしょう。しかし、これまでにそうした経験がなく急に経営戦略に関わるといっても、簡単にはいきません。そこでおすすめなのが戦略人事の経験が豊富な外部人材の知見を生かすことです。

経営にスピードが求められる今、戦略人事においても早急に運用を進めていくことが欠かせません。そのため、自社内での人材育成を行っていくだけでは競合に遅れをとってしまうリスクが生じます。このリスクを避けるには、戦略人事の経験や知見を持つ外部人材を活用したうえで、自社内の人材育成を同時に行っていくことが解決策の1つとなるのです。

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