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組織人事課題 2020.03.12

採用・育成にかかる手間とコスト削減を実現する採用手法、アルムナイ制度とは?

元々、学校の卒業生や同窓生を表す言葉である「アルムナイ(alumni)」。最近この言葉が企業の採用活動において大きな注目を集めています。企業におけるアルムナイとは退職者のことを指すもので、この退職者を人的資源として改めて雇用する採用手法が、アルムナイ制度です。採用活動といえば、新卒でも中途でも外部の人材を雇用するのが一般的ですが、なぜ、いったん退職した者を改めて雇用することが注目を集めるようになったのでしょう。今回はこのアルムナイ制度の概要、注目を集めている理由について考察していきます。

アルムナイ制度が注目されるようになった背景とは?

さまざまな事情で一度は退職した社員を改めて社員として雇用する制度であるアルムナイ。この制度を取り入れる企業が増え、注目を浴びるようになった理由はいくつか考えられますが、そのなかでも大きいのは、企業において短期間での離職者が少なくないことです。

厚生労働省による新規学卒者の離職状況を見ると、近年では四大卒で3年目に離職しているのがおよそ30%、短大卒、高卒となると40%前後となっています。2003年3月卒と2016年3月卒の3年目離職率を比べると、高卒は10%ほど下がったものの、四大卒、短大卒については大きくは変わっていません。しかし、今日までの間に少子高齢化が進み、労働生産人口は大きく減少しています。総務省の平成28年版情報通信白書によると、2005年の労働生産人口は8,409万人ですが、2020年は推計で7,341万人と実に1,000万人以上の減少が予想されています。そうしたなかで一定数の社員が短期間で退職していけば、当然、人手不足が年々深刻化していくことは想像に難くありません。

人手不足が深刻化するのであれば企業の工夫によって採用数を増やせばいいと思われるかもしれません。しかし、人材採用にはそれなりのコストがかかります。そして、もう1つの問題が社員の育成コストです。産労総合研究所「2019年度教育研修費用の実態調査」によると、2018年の社員一人当たりの教育研修費用平均(新人社員教育以外も含む)は実績額で34,607円。ただ1,000人以上の大企業では31,770円と平均を下回っている反面、299人以下の中小企業では38,250円と平均を上回っています。

業種にもよりますが、今後、人手不足が今以上に常態化することが予想され、採用コストの増加が見込まれるうえ、育成コストも大きな負担となるでしょう。そうした背景もあり、採用・育成コストが抑えられるうえに、会社の風土や企業のミッションおよびビジョンを理解している社員を再雇用できる「アルムナイ制度」が注目を浴びているのです。

アルムナイ制度を導入することのメリット

今、大きな注目を集めているアルムナイ制度。採用、育成コストを抑えつつ、企業理念を理解している社員を採用できることは大きなメリットですが、それ以外にも次のようなメリットが考えられます。

採用コストを抑えつつ外部の情報入手にもつながる

アルムナイ制度の特長の1つに、転職によりキャリアアップを果たしている人材を雇用できることが挙げられます。これにより、再雇用ではあるものの、外部の有益な情報を入手することも可能です。もちろん、一般の中途採用であっても外部の情報を入手することはできます。しかし、アルムナイの場合、自社のビジネスをすでに知っているため、本当に必要だと思う情報だけを提供してもらえます。

企業が求めているタイミングでの採用が行える

アルムナイ制度のもう1つの特長として、退職した社員と定期的に情報交換をしつつ、関係性を継続させる点が挙げられます。これにより、退職者が改めて自社の門戸を叩くのをただ待つのではなく、情報交換を行うなかで企業が必要だと思うタイミングで声をかけ、採用することができます。また、退職者と関係を保つことが、外部にネットワークを持つことにもつながり、自社に合った人材を紹介してもらえたり、退職者の転職先企業との協業に発展したりすることもメリットと言えるでしょう。

企業ブランディングにも効果を発揮する

当たり前ながら喧嘩別れをしたり不満を抱えたりした状態で退職していった社員を後に再雇用することはほぼ不可能です。そのため、退職してからではなく、在職時からコミュニケーションを欠かさず、友好的な関係性を構築しておくことが重要です。その結果、従業員満足度が高い企業として、外部に対するブランディング効果が発揮されます。

アルムナイ制度を活用するためのポイント

では、実際にアルムナイ制度を導入し、活用するためのポイントについて説明します。具体的には次の4点の視点をもって環境を整える気を付ける必要があります。

退職後も貴重な人的資源と考える

在職中の社員が貴重な人的資源であることは当然ですが、アルムナイ制度を導入するのであれば、退職後であっても、貴重な人的資源であることは変わらないという意識を持って接する必要があります。企業側が単なる外部情報の入手先といった程度の認識でいる限り、退職した社員がもう一度戻って働きたいと思うことはありません。

退職後も友好的な関係を継続する

前項まででも説明してきましたが、アルムナイ制度を導入するうえで、社員との友好的な関係性の継続は必須です。ただし、再雇用するまでは自社の社員ではないため、相手先の企業への配慮も欠かしてはなりません。特に競合他社へ転職した場合、機密情報を漏らしていると誤解されてしまうような行為は絶対に避ける必要があります。

アルムナイ制度があることを周知し、受け入れ態勢を整える

従来の日本の慣習もあり、いったん退職した社員は基本的には復職することは念頭にありません。そのため、その後も関係を継続していくといったことも考えないでしょう。これを防ぐため、退職時にはもちろんアルムナイ制度を導入していることを伝えておく必要があります。

また、アルムナイ制度を導入していることを在職中の社員が知らなければ、退職して数年で復職する社員を快く思わない可能性もあります。そのため、退職する社員だけではなく、在職中の社員に対してもアルムナイ制度があることを知らせ、この制度で再雇用された社員を会社全体で受け入れる体制を整えておくことが重要です。

再雇用時の条件を明確にする

アルムナイ制度を導入したからといって、退職者すべてが簡単に復職できるとなると、マイナス面も多くなってしまいます。そこで、再雇用のために必要な資格、スキル、経験など条件を必ず明確にしておかなければなりません。

アルムナイ制度、成功のポイントは経験豊富な人事顧問の存在

これまで、いったん退職した社員を積極的に再雇用するといった考え方は一般的ではありませんでした。しかし、多くの業種で恒常的になっている人手不足、育成にかかるコストの負担など、企業が生き残っていくうえで抱える人事問題は後を絶ちません。

アルムナイ制度は、これらの人事に関わる問題を解決する手段の1つとして注目を集め始めていますが、導入に際して1つ問題点があります。それは従来の採用や人材に関する意識を大きく変える必要があることです。

上述したように、これまで退職した社員はその時点で、新たな人材雇用の枠組みに含まれることはありませんでした。そのため、退職後に連絡を取り合うことも基本的にはなかったでしょう。しかし、アルムナイ制度を導入するには、そうした意識を変え、退職後も貴重な人材の一人として考える必要があります。

そこでおすすめしたいのが、アルムナイ制度を浸透させるための経験が豊富な人材を人事顧問として活用することです。まずは人事部の意識を変え、その後、社内全体の意識改革を行うことが、アルムナイ制度成功のポイントといえます。パソナ顧問ネットワークでは人事に関する経験が豊富な人材も多く在籍しますので、導入検討の際はぜひ、御相談ください。

パソナ顧問ネットワーク

 

参照サイト:

パソナ顧問ネットワークとは パソナ顧問ネットワークとは

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